私たちは科学技術の発展により快適で豊かな生活を送っています。フランシス・ベーコンの思想は科学技術の発展に大きく貢献したといえます。
「素人がわかりやすく解説してみた」シリーズのリンク集は以下の記事になります。
知は力なり-自然を支配し私たちの生活を豊かにする

フランシス・ベーコンは今から約500年ほど前のイギリスの哲学者です。
この時代は人間が自然をあるがままに捉える風潮が高まっていました。
彼は「知は力なり」という有名な言葉を残しています。
自然を理解することで自然を支配し、私たちの生活が豊かになるように利用すべきであるという考え方です。
現代を生きる私たちにとって、この考え方は違和感のないものだと思います。
私たちは科学技術の発展により非常に便利で快適な生活を営んでいますよね。
フランシス・ベーコンの思想は科学技術が発展するための礎を築いたものだと考えられます。
自然を支配するためには、まず自然をあるがままに理解する必要があります。ただこの「自然をあるがままに理解する」ということは非常に難しいことです。
フランシス・ベーコンは自然をあるがままに理解するためには、偏見を捨てる必要があると考えました。
私たちはどうしても偏見を持って物事を見てしまいます。テレビやニュースで言っていたから、親や教師が言っていたから、友達がみんな言っていたから、という理由で始めから偏見を持って物事を見ていませんか?
特にフランシス・ベーコンが生きた時代はキリスト教が広く人々の考え方に影響を与えていた時代です。現代の私たちは、ものが高いところから低いところに落ちるのは重力が働いているからだと知っていますが、神様がそのような力を与えているからだと教えられていたならば、そのような偏見を持って自然を見てしまいますよね。
経験論-経験こそが重要である

フランシス・ベーコンは自然をあるがままに理解するためには経験を重視すべきだと考えました。
これを経験論と言います。
頭で物事を考えると、どうしても偏見が現れてしまいます。例えばあなたが旅行に行く計画を立てているとします。インターネットやガイドブックで調べると、その土地は食べ物が美味しくないと書かれていました。その口コミを見てあなたは旅行に行くことをやめたとします。それではあなたの中で成長はありませんよね。実際に行ってみたら、食べ物はおいしかったのかもしれません。何事もやってみなければわからないのです。
実際に自分の目や耳で感じたことを大切にする。フランシス・ベーコンは経験を重要視することで自然をあるがままに理解しようと努めた哲学者でした。
帰納法-あるがままの自然を観察する方法-

フランシス・ベーコンは自然をあるがままに経験するために帰納法という手法を考えました。
この手法は現代科学でも利用されている手法です。
例えばAさんが90歳で死に、Bさんが87歳で死んだとします。これをCさんDさんEさん…とひたすら確認し、最も長生きした人が100歳まで生きたとします。ここで帰納法を用いると、「人間は最大100歳までしか生きられない」という結論になります。
このように具体的な物事を実際に見ていく、経験していくことで一般的な結論を見出そうとしたのです。
どうでしょうか?あなたはこの考え方に納得できますか?
気づいた方も多いと思いますが、帰納法には大きな欠点があります。それは、もしも101歳まで生きた人が現れたならば、「人間は100歳までしか生きられない」という結論は崩壊してしまうということです。
このように欠点はあるものの、自然を経験から理解するという手法は現代科学でも利用されています。科学者は実験を行うことで個別の物事を観察し、そこから一般的な結論を見出そうとしています。
現代を生きる私たちは科学を絶対的なものと捉えがちですが、ある例外が現れたらあっという間に崩壊してしまう脆いものなのです。
帰納法を学んだあなたには、科学は絶対的ではなく欠点もあるということを理解してもらえると嬉しいです。