ホルクハイマー、アドルノ、ハーバーマスの思想はフランクフルト学派と呼ばれています。人間はただ組織の目的を達成するための道具となってしまった。彼らの批判は私たちにの心に突き刺さります。
「素人がわかりやすく解説してみた」シリーズのリンク集は以下の記事になります。
ホルクハイマーとアドルノ-2度の世界大戦

ホルクハイマーとアドルノは今から100年ほど前のドイツの哲学者です。
二人は「啓蒙の弁証法」という著書を執筆したことで知られています。
彼らは2度の世界大戦を経験し、人間の愚かさを痛烈に批判しました。
人間は科学技術を発展させることで豊かな生活を実現させてきました。しかし一方で科学技術が人間を殺すための道具を生み出したのも事実です。
あなたは科学技術の発展を良いことだと思いますか?
科学技術の発展により私たちの寿命は延び、便利で快適な生活を送ることが出来ています。しかしながら科学技術の発展により、人間が人間らしさを失ったと考えることも出来るのです。
人間は道具になってしまった

人間は科学技術を発展させ、便利な道具を生み出し利用してきました。
しかしいつの間にか、逆に人間が道具に使われるという事態が発生しているのです。
例を挙げてみます。昔の人間は手作業で物を作っていました。その後、機械という道具を発明し、機械を利用することで物を大量に作ることが出来るようになりました。
しかしいつの間にか人間と道具の立場が逆転してしまいます。人間は機械のアラームが鳴るとその場へ直行し、機械の修理を行います。人間は機械のアラームが鳴ると原材料を投入しに向かいます。人間は機械が正常に動いてくれるように、毎日メンテナンスを行います。どうでしょうか。いつのまにか人間が機械に使われているようではありませんか?
二度の世界大戦では、人間が作った道具により人間が殺されました。人間は道具を生み出すことで道具の奴隷となってしまいました。
道具は何かの目的を達成するために存在します。例えば傘は雨を遮るために存在します。スピーカーは音を鳴らすために存在します。
道具になり下がった人間は、ただ目的を達成するためだけに行動します。そしてそもそもその行動は何のためにやっているのかを考えなくなります。
あなたも経験があると思います。学校では与えられた問題を一生懸命解こうとしますが、そもそも何故その問題を解く必要があるのかを考えません。会社では与えられたマニュアル通りに作業しようとしますが、そもそも何故そのマニュアル通りに作業しなければならないかを考えません。
人間は科学技術を発展させて便利な生活を送る反面、この「何のために?」を考える力が弱ってきているのではないでしょうか?あなたも普段の生活を送る中で一歩立ち止まり、「そもそもこれは何のためにやるのか?」を考える習慣を付けてみてはいかがでしょうか?
ただ目的を達成することだけに意識が向いていると、人間が人間らしさを失ってしまう恐れがあります。
ハーバマス-コミュニケーションの重要性

ハーバマスはドイツの哲学者です。
現代を生きる私たちは効率性を重要視しています。効率的にものを作ることが出来れば、それだけ会社は発展することが出来ます。そして会社組織も効率性を求めるため、ピラミッド型の組織となりました。ピラミッド型組織とは、トップである社長の命令が上から下に効率的にいきわたる組織です。
このような組織では人間はものを効率的に作るための道具となり、人間関係もまた効率性を求めるものになりました。皆さんも会社内では基本的に仕事の話をしますよね。いかに効率的に業務を遂行するかを目的としたコミュニケーションを行っているはずです。
このように効率性を追い求めることで、人間は人間らしさを失ってしまったのではないでしょうか?
ハーバーマスはコミュニケーションの重要性を強く主張しました。上からの命令に従い、ただ効率性を重視するのではなく、お互いがコミュニケーションを通じて納得しあいながら成長していく。一見効率が悪い方法に見えますが、そうすることで人間は人間らしさを回復し、更に発展していくことができるのではないでしょうか?
ピラミッド型の組織は個人の個性が失われてしまう恐れがあります。これからは個人が主体的にコミュニケーションを行うなかで、それぞれが意思決定を行い、個人のアイデアが受け入れられていく組織に変わっていく必要があると私は思います。